InterActorを用いた、身体的インタラクションシステムの研究開発

 InterRobotの電子メディア版として、話し手と聞き手の機能を有し、発話音声に基づいて身体動作・反応を生成するInterActorを開発している。このInterActorを用いて、発話音声のみを入力としてInterActorによる引き込みで対話者相互の身体性を共有することで、インタラクションを円滑にしコミュニケーションを支援する身体的インタラクションシステムのコンセプトを提案している。さらに、そのプロトタイプを開発して、コミュニケーション実験による行動分析と官能検査により、システムの有効性を示している。


 PCのディスプレイ上に描画されるInterActorは話し手と聞き手の両機能を備えている。ユーザがInterActorに語りかけると、InterActorが聞き手として頷き・瞬きや身振りなど身体全体で反応することで円滑に話しかけることができる。




 ディスプレイへの表示パターンは2種類あり、相手の代役としてのInterActorのみを表示した場面と自己の代役としてのInterActorも登場させて対話者相互に対面させたバーチャルな空間共有を実現する場面が選択できる。また、それぞれのInterActorの配置や視点は自由に変化させることが可能である。




 別のキャラクターデータを使うことで、違うキャラクターにすることもできる。
 本システムでの入力情報は音声のみであり、対話者各々の音声をネットワークを経由して対話相手方のInterActorに送信することにより、InterActorを介しての遠隔コミュニケーションが実現される。
 また、入力情報にはWAVE形式などの音声データを用いることもできる。




 人は対話中のコミュニケーションモードの変化によって対話シーンを使い分けていると考えられる。本システムは自由に対話場面が設定でき、その点においても利便性が高い。ユーザが1人の場合は、言うなれば「語りかけモード」であり、癒しやエンタテインメントとしても期待される。 ここで提案したコミュニケーションにおける身体性メディア技術は、現有のテレビ会議システムのように対話者の映像を直接伝送するのではなく、発話音声のみから頷きや身振り等の身体的リズムをメディアに導入することで、引き込みにより対話者相互の身体性が共有できるコミュニケーション支援技術である。現時点での実用性だけでなく、今後の技術進展により音声と動画像の同時送信が容易になったとしても、直接映像ではプライバシーの問題もあり、身体的リズム同調により効果的に引き込みを生起させる本手法は、一つのコミュニケーションモードとして有効であると考えられる。






遠隔コミニュケーションのサンプル動画のダウンロード(mpg 514KB)


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