対面コミュニケーションなど互いの身体を介した身体的コミュニケーションにおいて、身振りや表情といったノンバーバル情報をとらえ、相互のインタラクションを把握しながらコミュニケーションを行っている。すなわち、コミュニケーションにおける自己と相手との関係性において、身体のはたらき・作用が互いに把握・共有できる、身体性の共有が重要である。
 このメカニズムを合成的に解明するための身体的バーチャルコミュニケーションシステムを開発している。このシステムは、同一仮想空間内に相手と自己のアバタとなるCGキャラクタを投影することで、互いのインタラクションが容易に把握できるコミュニケーションシステムである。これまでに対話者の上半身の身体動作を忠実に再現する人型キャラクタのVirtualActor (VA)及び抽象的な波型キャラクタであるVirtualWave (VW)を開発している。
 仮想空間における各種情報を除去、追加、加工して身体的コミュニケーションを合成的に解析している。例えば、VAの空間配置、身体運動、韻律情報、生体(生理)情報の有無、それらのタイミングのずれ(遅延)による影響など。



VirtualActor (VA)

VirtualWave (VW)




 マウス入力により空間内の視点を自由に変更でき、VAの位置も移動させることができる。VAの各種対話配置によるコミュニケーション効果を確認するとともに、VAの頭部動作を矛盾的に止めることで、コミュニケーションにおける調整子の役割を果たす頷き等の頭部動作の重要性を示すなど、身体的コミュニケーションの分析・評価を通してシステムの有効性を確認している。


通常表示

半透明表示

相手のみ表示

正面から二人表示


 遠隔での身体的コミュニケーションにおいて、対話者それぞれのアバタを介して互いの身体性を共有することでインタラクションがとらえられ、身体的引き込みなどのリズム同調を把握できる場面が共通して好まれている。
 互いの身体性を共有し、インタラクションアウェアネスが得られることは、今後の情報通信技術において重要なファクターの一つと考えられ、研究を進めている。


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